豪雨で家が床上浸水などの被害を受けた日高川町、川原河小学校の4人の児童に、岩手県内の仮設住宅で暮らす男性から自転車が贈られた。東北の大震災のニュースを見た女性が個人的に男性を支援していたところ、今回の豪雨で男性が「和歌山の人に少しでも恩返しができれば」と女性あてに5万円を送金。被災者から心のこもった支援は女性が知人に相談のうえ、ピカピカの自転車となって子どもたちに届けられた。
  東日本大震災の発生直後、岩手県宮古市で家と20年以上飼っていた愛犬を津波で失った男性(71)のニュースを見た美浜町の藤原しのぶさんが心を痛め、同じ犬好きとして流された犬の泥だらけの写真を手に肩を落としていた男性を慰め、励ましたいと、ニュースのテロップに出た体育館の住所を頼りに手紙を書いた。以来、男性と手紙をやりとりするようになり、犬の写真を張るアルバムや日高地方の特産品を送るなど、月に1回ぐらいのペースで「一方的に」(藤原さん)支援を継続。男性は現在も妻とともに仮設住宅で暮らしているが、今月3日から4日にかけての紀伊半島豪雨で和歌山県が大きな被害を受けたことを知り、藤原さんあてに現金書留を送ってきた。
 幸い、藤原さんの自宅は被害がなかったため、一度は男性にお金を返そうとしたが、「お世話になった和歌山の方のために使ってください」といわれ、藤原さんは知人に相談。結果、日高川の氾濫で家に濁流が押し寄せ、大きな被害を受けた川原河小5年生の双子の姉妹、井手段なゆさん(10)とあゆさん(10)、4年生の岸本蒼士君(10)、2年生の太田歩夢君(7)の4人に自転車をプレゼントすることに決めた。
 井手段あゆさんは水害で自転車を流されてしまい、ほかの3人も壊れたり泥だらけになるなどした。藤原さんは「東北の被災者の方からご支援をいただき、何か協力できればと思い、自転車にかえさせていただきました。お家の方もまだ大変だと思いますが、とても気持ちのこもった自転車ですので、大切に乗ってください」と話し、子どもたちはさっそく新しい自転車にまたがって、「すっごいうれしい」「ありがとうございました」と大喜び。4人への自転車のほか、藤原さんも同校に対して図書券を贈った。
 垣内祥志校長は「子どもたちは水害で恐ろしい目にあい、心の底にはいまも恐怖心があると思います。きょうは自転車をいただき、いい笑顔を見ることができました。本当にありがたいことです。こうして少しずつ元の生活に戻ってくれれば」と話している。