台風12号の豪雨で、みなべ町特産の梅をはじめ農業に大きな被害が出ていることが、町などの調べで分かった。川沿いの梅畑が増水によって流失したり、田んぼに大量の土砂が流れ込むなど、16日現在分かっているだけで約3・7㌶が被害を受けている。なかでも島之瀬地内では大規模な地滑りが発生しており、約1㌶の梅畑が壊滅。所有者の男性は「もう再生は無理だろう」と肩を落としていた。
  町によると、 16日現在の農作物被害は、 梅が約2・9㌶、 水田約0・8㌶、 被害額は数千万円だが、 引き続き調査中で被害面積、 額とも今後増えるのは確実だ。
 大規模な地滑りがあったのは、 島之瀬地内の山あいに位置する通称 「大久保谷 (おおくぼだに)」 にある同地の農業龍神賢次さん(73)所有の梅畑。 龍神さんによると、 5日に地元区長から連絡を受けて知ったという。 山の斜面から谷にかけて、 約1㌶に300本ほどを植えていたが、 高さ、 幅とも約80㍍にわたって土砂が滑り落ち、 谷が埋まって丘になり、 谷沿いに植えていた木も完全に埋もれた。 崩れなかった斜面には木が少し残っているものの、 ほぼ壊滅状態で、 小屋も約50㍍押し流され破壊されていた。
 現場を確認した龍神さんは 「まさかとしかいいようがなかった。 父の代から梅を栽培しているが、 もちろん初めてで、 ここがこんなにくべる (崩れる) と思わなかった」 と驚きを隠せず、 「65歳で仕事を定年退職してからここの梅畑だけで栽培していましたが、 元通りにするのは無理でしょう。 これからは年金で生活していくしかない」 と話していた。
 このほか東本庄などの南部川や辺川沿いでは、 増水によって梅畑が崩れたり、 梅の木が流され、 梅畑に土砂が入り込んだ場所も1・9㌶を確認している。 梅は植えて収穫するまで数年かかることから、 被害に遭った生産者にとっては死活問題。 土砂に埋まった水田もたくさんあり、 どこまで復旧できるか分からず、 農家は頭を抱えている。