光ケーブルテレビに加入して1カ月余りが過ぎた頃、テレビの映りが悪くなった。ITに詳しくないので自分で調べても原因がつかめず、お客様相談係に問い合わせてみた。
 ケーブルをきちっと差してくださいと言われ、その通りにしても直らなかったので2回目の電話。音声ガイダンスのあと、かなりの時間待たされる。ようやくつながったと思ったら、そこからがにっちもさっちもいかない。電話相手の女性は親切、丁寧なのだが、なにぶんこちらは素人。何本もの線の差し替えをリクエストされたところでなかなかスムーズにいかず、イライラが募るばかりだった。
 工事後、配線を触ったわけでもなくごく普通にしていた。それでも不具合が生じた。こちらは長期契約を結んでいる。少しわがままかもしれないが、正直「電話で難しい話をせんでもちょっとだけ、もう1回家へ来てくれても...」と思った。
 サービスを提供する側のプロも、普段は一消費者であって常にその立場を忘れてはならないと、よくいわれる。プロの目線に立ってしまうと、どうしても消費者の気持ちが見えなくなるからだ。プロから見れば簡単な作業も、一定の知識のない人には難しい。今回の場合、工事の時のように自宅に来て調べてくれたら、逆になんとサービスがいいと思ったことだろう。
 取材対象者、それに読者と、常に人と向き合う仕事をしている。相手の気持ちに近づけなければ記事にして多くの読者に伝えることができないし、読者が知りたい情報を記事にしなければ読んではもらえない、そっぽを向かれてしまう。だから仕事はプロ、気持ちは消費者。それを忘れないでおきたい。       (賀)