チリン、チリン―。夏風に揺られて響く風鈴の音色。連日のように暑いさなか、涼しさを運んでくれるとともに、何とも言えない心地よさを感じさせてくれる。「いつまでも聴いていたい」とさえ思う、本当に癒やされる音色である。
 そんな中、日高川町の日高川交流センターで、風鈴演奏家の風音(kazaoto)さんと歌手ユンイ(yung―Yi)さんによる「風鈴ゆらぎのコンサート」が開かれた。二人は「四季を通じて聴くことができる癒やしのサウンド」としての日本の風鈴の音の素晴らしさを世界に伝えようと活動しており、この日は十数曲を披露し、来場者を癒やしの空間へ誘った。心に染み渡る澄んだ歌声と30種類の風鈴が織りなすハーモニーに来場者はうっとり。目を閉じて聴き入っていたが、あまりの気持ちよさにうとうととする人もいた。
 音楽療法など音によるヒーリングは昔から行われてきており、「癒やしの音」を聴くと、崩れた心身のバランスが整えられるのだという。近ごろでは音響測定や調律などに使われる音叉(おんさ)でのヒーリングなども話題になっている。風音さんは世界でただ一人の風鈴演奏家で、風鈴サウンドは癒やし効果だけでなく、健康雑誌では耳鳴りが治り、聴力もアップする魔法の音として紹介されている。他に取材があったため後ろ髪を引かれる思いで途中で会場を後にしたが、風鈴の音色は心地よく心身に染み渡る癒やされるサウンドで、イスに座って聴いていたなら多分数分で眠っていただろう。ゆがんだ心身のバランス調整と、やや聴力が低い耳の改善も兼ねてゆっくりと癒やしの風鈴サウンドを聴いてみたいと思うとともに、窓際にはもう少し風鈴を増やそうと考えている。  (昌)