日本の女子サッカーが世界一になるなんて、どれだけの人が予想しただろうか。優勝どころか、ワールドカップが開幕していたこと自体、知ったのは準々決勝でドイツを破ったころという人もいたのではないか。代表選手の名前で聞いたことがあるのは澤穂希さんぐらい、それがW杯前の大方の見方だったろう。それがいまや、大野、宮間、丸山、川澄ら、すらすらと名前が出てくる。彼女たちがやってのけた偉業は、日本のスポーツ史上にいつまでも輝き続けることだろう。同じ日本人として誇りに思う。
 世界一強い国でありながら、彼女たちへの待遇の悪さには驚かされる。ベスト8でお祭り騒ぎだった男子は、優勝していれば一人当たりボーナス5000万円と規定されているが、ワールドカップを手にした彼女たちには、わずか150万円程度。男子の移動は専用機、それに引き換え女子は、海外ではシャワーの出ないホテルだったり、選手を数人ずつに分けて、現地の日本人宅などに泊まらせてもらったこともあるという報道があった。逆にこのような環境が日本女子を強くしたのかもしれない。優勝の原動力の一つは厳しい環境で培ったハングリーさだろうか。
 強いチームには、必ず強力なリーダーがいてチームをまとめ、全員が一丸となって目標に向かって突き進む。なでしこでいえば澤選手がそうであり、団結力が感じられた。それに引き換え今の日本の政治のだらしなさは目も当てられない。リーダーは不在、チームはバラバラ、こんなことで国をよくすることなど不可能だ。政治だけではない、今の日本に最も足りないのはハングリーさではないか。なでしこたちに学ぶべきことは多い。   (片)