東日本大震災が発生してから3カ月余り。本県でも近い将来大規模地震の発生がいわれており、日々さまざまなことを考えさせられる。現行の地震、津波の規模の想定ではもはや通用しないことは明らかであり、国や県も防災計画の見直しを進めている。しかし、それだけでは何か足りないような気がする。
 というのは、例えば市の想定をみると、東海・東南海・南海地震の同時発生で満潮時に津波がくる最悪のシナリオだとしている。この想定には地震、満潮、津波の3要素が含まれているが、先日の集中豪雨でふと思った。この3要素のほか、仮に台風も同時に発生したらどうなるだろうか。地震で避難タワーに避難しても屋根がないため風雨にさらされる。避難タワーは高い場所にあるため、落雷の恐れもある。さらに台風に伴う大雨は日高川を増水させ、追い打ちをかけて地震で日高川町の椿山ダムが決壊。流域が大洪水に見舞われる。市内一帯は洪水と津波のダブルパンチで一面濁流に覆われているかもしれない。山間部では大雨で地盤が緩んだところに、地震の発生で山崩れが多発し、道路寸断、家屋倒壊などなど。もちろんこれが夜間で停電などの要素も入れば避難は困難を極める。
 まるで世界の終わりのような惨状で、死者数が一体何人にのぼるか想像もつかないが、こういった災害が複合的に起こる可能性が万に一つでもないとはいえない。それこそ、そこまで考えたらどんな対策をしたらいいのか問題だが、一つの可能性として住民や行政が心構えを持っておく必要があるのではないだろうか。     (吉)