日高町方杭、町営温泉館「海の里 みちしおの湯」玄関正面の受付、向かって左側のスペースにかわいい手芸品がずらりと置かれている。カウンターには「ご自由にお持ち帰りください」と書かれた紙が張り出されており、入館者らに無料で持ち帰ってもらえるようになっている。
 折り紙で作ったボールやユリ、コマ、千代紙の人形、ぽち袋、しおりなど色とりどり、趣向を凝らした手芸品。同館臨時職員補助員の女性スタッフ8人が休憩時間を活用して製作しているという。本格的に手芸を習っている人はいないが、本などを参考に一つ一つ心を込めて完成させている。材料費等はすべて自分たちで負担のいわばボランティア活動。「少しでも来ていただいた人に喜んでもらいたい」。そんな思いから100点以上も作品が並べられている。
 補助員の1人は「手芸品があれば来館者と話をするきっかけにもなりますし、少しでも温泉館のPRにつなげられる」とサービスを始めてからのメリットを話す。先日、実際に客として利用した際、「いろんなものがありますね」などと話がはずみ、確かに観光客らが来館した時の交流に一役買えるだろうと思った。もうすぐ書き入れ時の夏休み。現在は子どもたちに喜んでもらえるように貝殻を材料に置物づくりを進めており、ぜひ家族で来館した時には手にとって見てほしい。
 旅行に出かけると、小さな親切、サービスでもとてもうれしく感じる。手芸品のプレゼントは大幅な入館者増につながるものではないだろうが、手作りの温かいサービス。何とかしよう、行動しなければならないという気持ちが伝わってくるし、これからの観光シーズンへ向けても頑張っていってほしい。  (賀)