演歌、歌謡曲作家の大御所4人がスクラムを組み、東日本大震災の復興支援ソング「がんばれ援歌」を制作。6月29日にCDリリースすることになった。作詞家の1人、もず唱平さん(72)は日高町クエのまちテーマソング制作の中心人物で歌い手は御坊市出身の高橋樺子さん。印税は被災地支援へ全額寄付されるうえ、地元にも深い関係があり、大ヒットが期待される。
 もずさんは阪神淡路大震災で、妹が被災されたそうだ。命を落とすことはなかったが、地震発生後から仕事がなくなり生活も成り立たなくなった。日々の暮らしに困る中、たくさんのお見舞いや支援を受けて生活再建ができ、いまでもその温かいサポートに感謝の気持ちでいっぱいだという。今回、大地震発生10日後の3月21日に歌作りを決め、4月17日から20日まで福島、茨城の両県も訪問。ミカンやバナナ、タオルなど計10㌧もの救援物資を持って行き、同行した高橋さんは歌声で被災者の心のケアにも一役買ったという。
 もずさんに取り組みの動機を聞いたところ、一言で「相身互い」(あいみたがい)という言葉が返ってきた。同じ境遇にある者同士が同情し、助け合うことなどの意味があり、簡単にいえば「お互いさま」。いま、同じ境遇にある者同士ではないが、以前に身内が受けた恩を何かの形で返したい。そんな思いが強く、行動を起こすことになったそうだ。
 地震発生から時間が経つと、悲惨な震災のことも徐々に薄れる。歌には聞く人を感動させたり勇気、元気づけたり、さまざまな力があるが、この復興ソングでは作家たちの「相身互い」の気持ちも多くの人たちに伝わってほしいと思う。   (賀)