3万6000人ものランナーが首都を駆け抜けた東京マラソンで堂々の3位、日本人トップでゴールを切ったのは、なんと市民ランナーの川内優輝さんだった。「市民ランナーでもやればできることを示せた」と誇らしげだったのが印象的。埼玉県の高校の事務職として勤務する公務員が、恵まれた環境で日々練習している実業団選手に勝ったという事実は、一生懸命頑張っている多くのアスリートに勇気を与えたのではないだろうか。歯をくいしばり、まさに最後の最後まで一切手を抜かず全力でゴールテープを切った姿は、純粋に気持ちがよかった。運よく世界選手権切符を手にしたシンデレラボーイではない、努力に努力を重ねた結果である。
 学習院大学時代は、学連選抜として箱根駅伝に2度出場し、いずれも6区で区間6位と3位を記録した実力の持ち主であったという。もともと力があったとはいえ、これだけの結果を残す原動力となったのは何なのだろうか。それは、絶対にやってやるというハングリー精神だろう。実業団に誘われもしたが、仕事と両立しながら練習する自分のスタイルを貫き、大舞台で結果を出した。見習うべきところは非常に多い。
 このぶれない気持ちを最も見習ってもらいたいのは、やはり政治、行政にたずさわっている方々だ。とくにまちを動かす役場職員や議会議員の皆さんには、「このまちをこうしたいから、とことん頑張る」というハングリー精神を忘れないでほしい。そして住民自身にも同じことが言えるだろう。川内さんの激走を見て、日本全体にハングリー精神が求められているように感じたのは筆者だけだろうか。   (片)