近年、「買い物弱者」という言葉がよく取りざたされる。身近な場所から買い物をするための店が撤退、そのうえ高齢のために車などの移動手段を確保できずに遠くの街まで出かけることが困難に感じる人々のことで、すでに全国で約600万人もいるという。
 以前なら普段の生活に必要なものは大方、身近なところで手に入った。それが後継者不足や大手量販店との競争などの影響でだんだんと衰退していき、日高地方でもお年寄りたちから不便を感じる声がよく聞かれている。
 2月25日付9面のコラムで、大阪の量販店で電化製品を買った時の話を掲載させてもらったところ、一部の読者から「地元をないがしろにし、都会の店で購入することを推奨している」との意見をいただいた。公正な競争の下、「客をひきつけるためには何でも考える」といういろんな取り組みの一つを体験に沿って書かせてもらっただけで、実際にはまったく指摘のような意図はない。誤解を与えるような表現があったならお詫びしなければならない。
 地元の電気屋さんが必要なのは言うまでもない。故障の際にきてもらうのも早く、電化製品の使用方法が難しくなる中、お年寄りたちには心強い存在だろう。買い物弱者問題でも地域の人たちがいなければ対応は難しいはず。多くの読者にお支えいただいている地方紙のネットワークも、地域の人たちと協力態勢を構築すればお役に立てるかもしれない。現に地域の協力態勢の下、全国各地でさまざまな取り組みがなされている。日高地方も対策を始めなければならない時にあり、本紙も意見をいただいた方同様に「地元とともに」という姿勢に変わりはないとお伝えしたい。
       (賀)