日高川町美山地区から会社までの通勤途中、県道御坊美山線では沿線の畑や民家の庭先に季節を感じる。いまの時期はウメがかわいらしい花をつけ、3月に入れば花見にもってこいのサクラも咲く。梅雨前にはフジが鮮やかな紫色で目を楽しませ、夏はアサガオが満開。秋にはコスモスの花が風に揺れ、キンモクセイもさわやかな香りを届ける。冬はサザンカが寒さに負けず大輪の花を咲かせる。
 さて、御坊は日本一の花の里といわれるが、「花はいったいどこにあるのか」なんて声をよく耳にする。確かに市と観光協会では花いっぱい運動で毎年ガーデニング教室を開催したり、御坊商工会議所地域活性化委員会では寺内町にハーブを植えたりと努力はしているが、いま一つ続かないし、広がらない。恥ずかしながら本社も以前取り組んだことがあるが、同じようなものである。市内のいたるところで花を見ることができるようになるには、行政でも民間でももっと強力なリーダーシップが必要で、市民全体の意識を変える必要もありそうだ。
 ただ、「花がない」とはいうが、名田町の広大なほ場ではビニールハウスでたくさんのスターチスやスイートピーなどが咲いている。現場にいけば数の多さに圧倒され、これが日本一の花の里といわれるゆえんだと感じる。だったらこれを観光に利用しない手はなく、見学や花摘み、フラワーアレンジメント体験ができるようにしてはどうか。農家の協力も得て既設の花き団地を利用するのだから、新たな観光施設整備などと比べ経費はあまりかからない。市が試験的に花摘み体験などを観光ツアーに組み込んでいるが、今後は本格的に観光客を呼び込む仕掛けや受け入れ態勢を整えていけばいいと思う。  (吉)