担当の由良町は選挙戦の真っ最中。街宣カーが町内を巡り、「お願いコール」が響いている。争点がなく、「泣く1人」と順位にだけ関心が向きがち。どこか盛り上がりに欠けるように思う。
 今回の町議選は、告示まで1カ月を切っても立候補予定者が定数に満たず、当選者不足による再選挙もささやかれた。そんななか名乗りを上げた新人のほとんどが出馬表明のときに「まちに元気がない。まちを元気にしたい」と抱負。まちの元気イコール人口とはいいきれないが、立候補者が口にする活性化、雇用、子育て、教育、福祉といったまちづくりへの熱意は、どれをとっても最終的には人口問題に通じるところがあると思う。少し補足すると、由良町の住民基本台帳による総人口(住民票を置く人の数)は先月末で6824人。町の人口は企業誘致によって増加した昭和55年の9468人をピークに年々減少しており、出生・死亡による自然動態より転入・転出による社会動態が大きく、人口の流出が目立つのが特徴だ。
 以前、若者の人口が増えた長野県の下條村がテレビで紹介されていた。若者夫婦が移住し、出生率は2人を超えたとか。理由については村が大幅にコストを削減し、節約で作り出した財源を子育て支援や教育、福祉に回したから。特に産業はないが、大きな市まで車で20~30分、2LDKに2台分の駐車場がついて家賃3万円台の村営住宅があるという。
 昨年4月、過疎地域に追加指定された由良町。人口減少、流出はどこでふっても話題になる。きょう1面の「候補者に聞く」でも11人とも思いを即答。町民の共通認識といっても過言ではない。選挙戦が人口問題について真剣に考える機会になればと思う。  (笑)