1月があっという間に行き、立春も過ぎて暦の上ではもう春だ。卒業、入学、別れと出会いの季節もすぐにやってくる。考えてみれば、人生は別れと新たな出会いの繰り返し。そうやって知らず知らずのうちに豊かな感情や人への思いやりを育んでいるのだと思う。入園、卒園、入学、卒業、そしてまた入学と、当たり前のことだが友達と離れ離れになる寂しさ、また新しい友達との出会いを楽しむことを子どものころから自然と経験してきて、いまの自分がある。とくに子どもにとってよき出会いとは、友達だけでなくどんな大人、どんな先生と出会うかでも考え方や価値観は変わってくる。
 筆者のふるさと印南町では、4月から町内の幼稚園と保育園が一体となる認定子ども園がいよいよ開園する。運営するのは町ではなく、社会福祉法人、いわゆる民間で、民設民営の認定子ども園は日高地方で初のオープンとあって、町外からの関心も高い。先進的なモデルケースとなることは間違いないが、預ける保護者にとってはすべてが初めてのことで不安があるのも事実。ましてや町内に1つしかない園、ほかに選択の余地はない。民営とはいえ、町はこれまで以上に保護者とのパイプ役となる必要があるのは言うまでもない。
 子どもたちにとってはどうか。町営だろうが、民営だろうが、そんな大人の事情は関係ない。どんな素晴らしい教育・保育プログラムを整え、設備を充実させたところで、子どもたちの心を豊かにするのは、人でしかないのだ。たくさんの新しい友達とのふれあい、よき先生方との出会いがあることを大いに期待し、新しい船出を保護者がしっかり見守っていこう。     (片)