みなべ町のごみ最終処分場の整備工事が約1年遅れ、供用開始時期が来年度末ごろになる見通しとなった。執行部では「雨水などの浸透水を管理する水処理施設機器の検討に時間がかかった」と説明し、この事業にかかる本年度の当初予算3億円は全額来年度に繰り越された。要するに、当初の計画が甘かったということだろう。
 今回のごみ処理施設の工事に関しては、昨年に職員の不祥事が発覚し、詐欺や贈収賄で職員らが逮捕に至った。そのほかにも必要な書類を県が受理していないまま着工したという無許可着工の問題も明るみになった。それだけに今回の整備工事についてはスムーズな完成が望まれ、工事には細心の注意を払う必要があったのではなかろうか。
 しかし、工事が1年程度の遅延。予算についても「全額繰越」となり、その言葉だけを聞けば「役場職員は本年度になって一体何の仕事をしていたのか」と、住民から不信感さえ持たれかねない。もちろん住民に対する損害もある。町内には、今回の工事が完成するまで焼却した灰を埋め立てる施設はなく、いままで通り処理費用がかかる三重県の委託業者に依頼しなければならなくなった。費用は年間約1000万円が必要で、完成が遅れれば遅れるほど焼却灰の処理費はかさんでくると言える。それにはもちろん住民の税金が投じられる。
 今回の工事は不祥事からの信頼回復をはかるという意味でも、特に慎重な対応が必要だった。小谷芳正町長らは昨年、不祥事が発覚するたびに「住民の信頼回復に全力を挙げたい」という言葉を繰り返してきたが、その言葉がかすんでしまうばかりだ。    (雄)