今月初旬に開催された少年サッカーの第2回紀の国カップを取材して、うれしいことがあった。小中学生時代に取材した選手数人が、いい大人になって所属していたチームのコーチなどとして参加していたのだ。地元の学校に勤務している講師、部活が一段落して帰郷した大学生ら、チームを離れて久しいOBがいろんな形でサッカーに携わっていることを心強く感じた。チームにとって新しい風が吹き込まれるのはもちろん、本人たちにとっても子どもたちや保護者、他のチーム関係者との新しいコミュニケーションが生まれる。人とのつながりは何よりの財産だ。ケツ割りの筆者にはいまさらながらうらやましく映り、最後まで部活を頑張っておけばよかったと、思っても仕方ないことを思ったひとときでもあった。
 いまの若者は人とのコミュニケーションが比較的苦手だとよく聞く。もちろん、そうでない人はたくさんいるが、全体的な傾向のようだ。インターネットを通じてパソコン上のコミュニケーションは増えたが、逆に人対人の会話の機会が減っているのではないか。服を買うのもネットで済ませる時代、そんな環境にあれば仕方がないのかもしれない。いまこそ子どものころから人対人のつきあいを増やす環境が必要だ。
 寒い中サッカーボールを懸命に追いかけ、声を掛け合っている子どもたちの姿を見ると、こうやってコミュニケーション力を培っているのだと感じる。スポーツだけでなく、文化的な分野も含めて日高地方にも子どもを対象としたいろんな"部活"がある。習い事を含め、辞めたいと思うこともあるかもしれないが、やってよかったと思うときがいつか必ず来る。    (片)