このほど何年かぶりにボタン鍋を食べた。あまりのおいしさに舌鼓、冷えた体も芯から温まった。思い返せばシシ肉料理でボタン鍋以外に口にしたことがあるのは焼き肉くらい。これもまた絶品である。一般家庭では調理法はあまり知られていないが、イベントなどではカレーとして振る舞われたり、通によると、すき焼きやカツにしてもおいしいらしい。
 ここ1年ほどの間に記事で「ジビエ」という言葉を使うようになった。ジビエとはフランス語で狩猟によって食材として捕獲された野生鳥獣のことを意味するが、日高川町が昨年、有害獣対策として食肉処理加工施設を開設したことがきっかけ。獣肉を安心、安全な食用肉に解体処理、加工する施設で、獣肉の普及、特産化にも力を入れており、取り組みは全国から注目を集めている。これに伴い取材で各種ジビエ料理と接する機会も多くなった。シシ肉では代表格のボタン鍋に始まり、チャーシューやシューマイ、ピカタ、シカ肉はローストや竜田揚げに、寿司まで。時間の都合で口にしたことはないが、とてもおいしそうで、鍋と焼き肉ぐらいしか知らなかった自身の食文化の乏しさを後悔している。
 町ではジビエの町を目指し、3月19日に「ジビエ料理まつり」を開催することが決まった。獣肉の需要促進などが目的でシシ肉、シカ肉を使ってB級グルメ風に各種ジビエ料理をブースで調理・販売し、バリエーション豊かな利用法と肉のおいしさをアピール。筆者も仕事にかこつけて今度こそは口にしたいと楽しみにしている。読者の皆さんもぜひこの機会にジビエ料理を堪能してみては。新たな味に巡り会うとともに、家庭の食卓も豊かになることと思います。        (昌)