県立医科大附属病院に導入された新型CT

 県立医科大学は今月から附属病院に次世代コンピューター断層撮影装置「フォトンカウンティングCT」を導入し、運用を始めた。従来のCTに比べて大幅に被ばくを低減しつつ、より高精細な画像が得られ、病変の検出や評価など診断精度の向上が期待されている。国内では26台目、県内では初の導入となった。

 導入した機種はドイツのシーメンスヘルスケア社が開発した「ネオトム・アルファ・ピーク」。費用は関連設備などを含めて約4億7300万円で、既存のCT3台のうち、稼働から13年が経過した1台を更新する形で導入した。

 CTはX線を体に照射し、体内を通過したX線を検出器で捉えた情報から、コンピューターで画像を再構成して表示する。従来機との最大の違いは検出器にあり、従来のCTはX線を一度可視光に変えてから電気信号にするため、X線の粒子の個々のエネルギー情報が失われる課題があったが、新型の検出器はX線を直接電気信号に変換、光子を一つずつカウントすることで、個々のエネルギー情報を正確に判別できる。これにより画質が大きく向上し、耳の内部にある約1・2㍉のあぶみ骨や、血管の狭くなった部分を広げるために設置したステントの内部など、体内の微細な構造が従来より明瞭に描き出せる。

 さらに、1回の撮影で得られるエネルギー情報を活用し、特定の成分(骨や血液、カルシウム、造影剤など)を強調、または除去した画像の作成も可能。血管の石灰化部分を取り除いて内部の狭窄率を正確に評価することや、金属製の人工関節など人工物の周囲に発生する画像の乱れを大幅にカットすることができ、従来は評価が難しかった人工物周辺の病変の診断もより正確に行えるようになる。

 被ばく線量に関しては、成人腹部で約30~40%、小児胸部では約50~55%の低減が見込まれるとの調査報告がある。電子ノイズの影響を受けにくいため、少量の造影剤で鮮明な撮影が行えることも長所の一つ。小児や妊婦、腎機能が低下した患者らの検査負担やリスクを大幅に軽減できる。

 医学部放射線医学講座の生駒顕准教授は「フォトンカウンティングCTの特性を生かし、患者により安全で最適な医療を提供したい。県内の高度医療や臨床研究、医学教育を支える重要なツールとなる」と話している。