日高川町農改センターで17日、川辺天文同好会(前田芳郎会長)主催の天文講演会が開かれ、太陽系の起源と進化を専門とする同町出身の北海道大学名誉卓越教授圦本尚義さんが、火星と宇宙航空研究開発機構(JAXA)の火星衛星探査計画について話した。
先月からスタートした圦本さんの講演会の第2回。今回は20日のJAXAによる火星衛星探査機MMX(Martian Moons eXploration)の打ち上げを前に、火星の構造や大きさ、大気の成分、火星衛星探査計画の目的と概要などについて説明した。
MMXは全長が約5㍍、幅が約9㍍。計画では約1年後の2027年夏に火星の周回軌道まで到達し、29年初めに衛星フォボスに2度着陸し、地表の砂などの試料採取(10㌘以上)を試みる。その後、フォボスから離れ、もう一つの衛星ダイモスの近くを通過(フライバイ)しながら観測し、31年に試料の入ったカプセルを地球に投下。オーストラリアの砂漠で回収する。
JAXAはこれまで、はやぶさ、はやぶさ2で2回の小惑星の試料採取・回収に成功しており、今回のフォボスの計画が成功すれば人類初の火星圏からのサンプルリターンとなる。20日未明、MMXの打ち上げは無事成功し、計画の軌道に投入された。
圦本さんははやぶさが採取した小惑星イトカワ、はやぶさ2が持ち帰った小惑星リュウグウの試料の化学的分析に携わった。この日は「今回の火星衛星探査計画は世界をリードする日本(JAXA)のサンプルリターン技術により、衛星フォボスの起源を解明するのが最大の目的。採取したサンプルを分析することで、フォボスが地球の衛星の月と同じような起源(巨大衝突説)なのか、外部から飛来して火星の重力に捕まった小惑星(捕獲説)なのかが分かる」と述べ、さらに火星の地下に存在するといわれる水とフォボスの関係、地球の水の起源の解明につながる可能性もあると期待を示した。


