ネイチャーポジティブ(自然再興)という考え方が企業に浸透してきていることを受けて、農林水産省の地域資源活用・地域連携サポート事業コーディネーターと専門家が15日、みなべ町を視察した。同町は世界農業遺産、ニホンミツバチやウミガメの保護、梅剪定枝のバイオ炭など豊かな自然環境を守り育てる「価値ある取り組み」の宝庫だとして、今後、企業に取り組みへの参画をPRしていく。

国では、生物多様性の損失を止め、反転させる「ネイチャーポジティブ」の実現に向けて、2030年までに陸と海の30%以上(2020年と比較)を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標を立てている。企業は生物多様性への取り組みを開示(TNFD)する動きも始まっている。今年7月には熊本市でグローバルネイチャーポジティブサミットが開かれ、多くの企業が参加するなど盛り上がりをみせている。
生物多様性への具体的な取り組みを模索する企業が増えていることに、みなべ町SDGs未来事業「梅ラーニングコモンズ」の中のバイオ炭研究グループの真造賢二代表が着目。町ではすでに生物多様性を保全する取り組みが展開されており、企業にPRして参画してもらうことで、取り組みの一層の推進と地域活性化にもつなげたいと、コーディネーターの派遣を国交省に申請。コーディネーターの加藤芳男さん(70)と専門員の渡辺和博さん(66)が来町した。
真造代表の案内でウミガメの産卵地として有名な山内地内の千里海岸、東本庄地内の元サーキット場建設予定地だった場所を森に復元している「百年の森」、清川のバイオ炭炭化炉、紀州備長炭振興館などを見て回った。千里海岸では町職員からウミガメの産卵数や、保護するために地域や企業の支援を受けて活動しているとの説明を受けた。加藤さんは「世界農業遺産、ウミガメやミツバチの保護活動は、山、川、海とすべての自然環境とつながっている。町と企業をつなぐため、これらの活動に企業がどのように関わればいいのかを具体的に検討し、参画を促すようPRしたい」とし、みなべ町出身の渡辺さんも「町の環境や生物多様性を守る活動を長年続けている地域住民の思いも素晴らしい価値。自然を大事に暮らしてきた文化も魅力の一つとして各企業に提案していきたい」と話した。
今回の視察を踏まえ、今年度中に具体的な取り組みをとりまとめ、来年度から企業に参画をアピールすることにしている。


