由良町でクマの出没が相次いでいる。6月に三尾川で目撃されて以降、衣奈、三尾川で8月末までに4件の目撃情報があった。今月に入ってからは江ノ駒地区でも姿が確認され、さらに数日後には畑地内でも見つかった。

 これまで比較的山間部での目撃が多かったが、江ノ駒は地元企業のすぐ隣。近くには釣り人が多く利用する波止場もある。畑地内も民家の近くで、周辺は中学生らの通学路にもなっている。目撃時の大きさから江ノ駒で確認された個体とは別とみられ、複数頭が町内に入り込んでいる可能性もある。

 これまでの目撃の多くは車のドライバーによるもので、クマは人や車に気付くと山側などへ逃げていく様子が見られている。北海道などで車に向かって突進する衝撃的な映像を目にすることもあるが、ほとんどがヒグマで和歌山県に生息するのはツキノワグマ。警戒心が強く、人を避ける傾向があるとされる。ただ、だからといって油断はできない。

 実際、9月には有田川町で69歳の男性が自宅近くのビニールハウス付近でツキノワグマに襲われ、頭や両腕にけがを負った。県内でツキノワグマによる人的被害が確認されるのは極めてまれとはいえ、身近な場所で被害が起きていることを忘れてはならない。

 対策としては、鈴やラジオなどで人の存在を知らせ、足跡やふんなどの痕跡を見つけた場合は引き返すことも重要だ。人里にクマを呼び寄せないため、生ごみや不要な農作物を放置せず、庭先の柿や栗なども収穫しておきたい。

 クマは生活圏のすぐそばまで来ている。山に入る人だけでなく、普段の生活でもクマを意識する必要が出てきている。(城)