暑かった夏が過ぎ、朝夕に少しずつ涼しさを感じるようになり、秋の気配が漂い始めた。稲刈りを終えた田んぼの畔(あぜ)にはヒガンバナが咲き、野山に彩りを添えている。「暑さ寒さも彼岸まで」という諺(ことわざ)がぴったりと感じられる季節になった。

 そして、秋といえば「食欲の秋」。暑さのために食欲が落ちていた人も、涼しくなるにつれて食卓に並ぶ料理をおいしく味わえるようになる。特にこの時期は、サツマイモ、クリ、柿、サンマなど、おいしい食べ物が目白押しだ。日高地方でも稲刈りが進み、収穫されたばかりの新米が出回り始める時期。新米の炊きたてのご飯は食欲をそそられる▼子どもの頃、秋になると、稲のもみ殻を焼いて処理する中にサツマイモを入れ、焼いて食べた思い出がある。時には熱が十分に通らず、固い部分が残っていることもあった。それでもおいしく感じられたし、それが幼い頃の秋の楽しみの一つだった。今は一年を通してさまざまな食材が手に入る便利な時代になったが、この時期でなければ食べられない旬の味がある。四季のある日本ならではの食の魅力といえるのではないだろうか▼代表的な秋の食べ物の栄養価をみると、サンマは良質なタンパク質を含み、DHAやEPAなどの脂肪酸も豊富。柿にはビタミンCやカリウムなどが含まれている。夏の疲れが出やすいこの時期。旬の食材を味わうことは心身の調子を整えるきっかけにもなる。家族や友人と「おいしい」と言いながら食卓を囲めば、自然と会話も弾む▼秋の味覚を楽しみながら実りの秋に感謝し、旬のおいしさをじっくりと味わいたい。ただ、食欲が増すからといって、ついつい食べ過ぎてしまわないように…。(雄)