先月、90歳で亡くなった化学者白川英樹さんは、26年前にノーベル賞受賞が決まった際、近所の人はみんな「あの人が」と驚いたという。筑波大を退官後は研究をきっぱりとやめ、畑を耕し、採れた野菜を周囲におすそ分けしながら、静かな生活を送っていた。
ノーベル賞の受賞理由は「導電性高分子の発見と発展」。タッチパネルや太陽電池に欠かせない電気を通すプラスチックを発見、開発し、ITを支える素材の実用化に道を開いた。生涯、基礎研究の道を貫き、今年の夏も子どもたちに化学の面白さを伝える活動を続けていたという。
この週刊誌の追悼コラムを読み、日露戦争でロシアのコサック騎兵を打ち破った秋山好古氏を思い出した。軍人として最高位の陸軍大将まで上り詰め、引退後は郷里松山の私立中学校の校長に就任。名もなき一教育者としての道を選んだ。
自らは過去の功績、威厳を誇示するようなことはせず、引退後に約束された名誉職のポストもすべて断り、「若者の教育こそが国家の基盤となる」との信念から、故郷に戻って第二の人生を送った。秋山氏と白川氏は、無欲で高潔な生き方が共通している。
そしてもう一人、日高川町出身の地球・惑星科学の研究者で、小惑星探査機が持ち帰った微粒子の分析等で知られる北海道大学名誉卓越教授の圦本尚義氏が同大学を定年退職され、ふるさとへ戻ってこられた。
中秋の名月の25日には、同町農改センターで開かれる川辺天文同好会の講演会(1面に記事)で話をされる。テーマは「お月さまのお話し」。子どもたちにも宇宙や科学の面白さを分かりやすく聞かせてくれます。お時間のある方はぜひ。(静)

