
今回紹介するのは「地面師たち ファイナル・ベッツ」。本書を手に取ったきっかけは、Netflixで大きな話題となったドラマ版「地面師たち」を見たことだった。ドラマのスリリングな展開に魅了され、続編にあたる本作では、どんな大きなだまし合いが繰り広げられるのか気になった。
そもそも「地面師」とは、他人の土地の所有者になりすまし、偽造書類などを使って不動産の売買代金をだまし取る詐欺師。不動産のプロや企業の隙を突く精巧な仕掛けと、一瞬の油断も許されない極限のやり取りが繰り広げられる。
本シリーズの一番の見どころは、地面師たちが幾度となく見破られそうになりながらも、ぎりぎりの場面で巧みな話術や機転を利かせ、危機を切り抜けていく点にある。「ばれるかもしれない」というハラハラ感の中で繰り広げられる鮮やかな攻防には、思わず手に汗を握ってしまう。
「ファイナル・ベッツ」では舞台を北海道へと移し、広大な土地をシンガポールの実業家に売りつける200億円規模の取引が描かれる。ドラマ同様、スリルに満ちており、最後まで存分にハラハラドキドキを楽しむことができた。
作品の中でひときわ強い印象を残すのが、リーダーであるハリソン山中だ。表向きは紳士的でありながら、内面には底知れない狂気を秘めた恐ろしい人物である。読み進める間、脳裏にはドラマで彼を怪演した豊川悦司さんの、不気味でありながらも魅力的な表情が浮かび続けていた。
ドラマを見てハマった人はもちろん、まだ見ていない人でも一気に引き込まれる作品となっている。(城)


