9月は日本対がん協会などが定めるがん征圧月間。国民の2人に1人がかかるといわれる身近ながんも、多くの部位は初期段階の発見、治療により5年生存率が90%を超える一方、和歌山県はがん検診の受診率が全国平均を下回っている。その大きな要因は会社など職域検診の低さにあり、県は南方熊楠をモチーフとした啓発キャラクター「クマグス博士」を作成し、県民、事業所への受診呼びかけに力を入れる。

国内のがんによる死亡者数は、高齢化に伴い増加傾向にあるが、年齢の偏りによる影響を取り除いて計算した75歳未満年齢調整死亡率は90年代半ばをピークに減少傾向。和歌山県も減少が続いているが、24年は前年から微増の72・8で全国平均の64・7を8・1㌽上回り、都道府県別では44位と低迷している。
医療の進歩により、早期に発見・治療できれば、多くのがんで生存率は90%を超える。ごく初期のステージ1であれば、5大がん種のうち胃、大腸、子宮頸、乳がいずれも90%以上、肺は81・5%が治癒(完治)の目安とされる5年生存率を達成している。
早期発見のために重要な検診の受診率をみると、和歌山県は胃が47・5%(全国34位)、肺が46・5%(36位)、大腸が40・6%(40位)、子宮が38・7%(43位)、乳が39・5%(45位)で、すべて全国平均を下回っている。また、大手生命保険会社の24年度の全国調査によると、和歌山県の職域のがん検診受診率は13・3%(全国45位)しかなく、住民検診も合わせた県全体の低い受診率の要因とみられ、検診受診率の低さが早期発見率の低さ、高い死亡率へとつながっている。
県はこの現状を打開するため、「くまなく検診を」をコンセプトに南方熊楠をモチーフとした啓発キャラクター「クマグス博士」を作成。31日には和歌山市出身の漫画家マエオカテツヤさん(58)が県庁に宮﨑泉知事を訪ね、県から依頼を受けたがん検診啓発キャラクター「クマグス博士」の完成を報告した。
マエオカさんは「熊楠さんは知の巨人であり、さまざまな粘菌を細部まで研究してきた。いろんながんを見つけてくれそうということで、啓発キャラクターにさせていただきました」と説明。自身の母が3年前に乳がんで亡くなったことも初めて打ち明け、「母は父の病気の看病に追われ、気づいたときはステージ4のがんだった。母が私の一番の応援者であり、心に大きな穴が開いた」などと、人一倍、がんの検診、早期発見の大切さを身に染みて感じているとした。
宮﨑知事は「素晴らしいキャラクターをありがとう」と感謝。県民に対して「昔は不治の病といわれたがんは、治療法の進歩で治る病気と呼ばれるようになってきた。ただし、それには早期発見、治療が大事。決して自分は大丈夫だと思わないこと。がんが怖いという人はなおさら早く検診を受けてほしい」と呼びかけた。
今後はがん征圧月間の9月と次回検診予約のタイミングとなる来年3月を中心に、県ときのくに信用金庫、紀陽銀行、アフラック、日本生命保険などの民間企業が一体となって、協会けんぽ会員事業所に対する協会提供検診制度の利用呼びかけ、啓発イベントの開催、県立高校へのがん教育資材提供などを進めていく。

