先日、御坊日高博覧会(おんぱく)のプログラムの一つ、「カムカタラヒ(神語り)」に参加した。案内人の木村洪平さんの話は神話好きの筆者には大変興味深かった。

 御坊市の小竹八幡の御祭神のうちの一柱である小竹大神(地主神)は、古事記や日本書紀の国譲りで有名な出雲の大国主(オオクニヌシ)という話は初めて聞いたので驚いた。聞けば、出雲にある有名な稲佐の浜は昔、薗の長浜と呼ばれていたこと、日御碕という岬もあり、この岬から稲佐の浜を見下ろすと、美浜町の煙樹ケ浜とすごく似ているという。地名をはじめ、紀州は古代、出雲の影響を受けていたと思われるとの説明にロマンを感じた。

 笑い祭で有名な日高川町の丹生神社の祭礼は、丹生神社の神様、丹生都姫が八百万の神が集まる出雲の会議に寝坊し、慌てて向かっている途中、巻いていたおこしを木の枝に引っ掛けてしまい、はだけたことを笑われて岩屋に閉じこもった云々の伝説があり、アマテラスの天の岩戸伝説に似ている。御坊市塩屋町南塩屋の須佐神社のおとう祭は、スサノオがヤマタノオロチを退治した伝説からきている。神話と日高地方の祭礼とのつながりも大変面白かった。

 御坊祭や由良祭にもオオクニヌシとのつながりを示す祭具が今も残っている。神話は空想の物語といわれる人もいるが、古代から日本人の心の中に生き続け、祭祀はもちろん文化の根幹の一つを成していたのだろう。こんな小さな地域の祭りにも息づいているのがいい証拠。神話を知ると、日本人が大切にしてきたことに触れることができる。物語としても面白いのでぜひ触れてほしい。(片)