

有田川町の生石高原で長年飼育、愛されてきたツキノワグマの太郎が先月29日、36歳で永眠した。人間でいうと100歳をはるかに超える高齢。日高地方からも多くの人がボランティアとして世話してきており、30日には日本熊森協会和歌山県支部長を務めるみなべ町議の真造賢二さん(64)らが葬儀を行って在りし日を偲んだ。写真は日本熊森協会提供。
清水町で生まれた太郎は生後2カ月のときに母親を射殺され、生石高原の獣舎で暮らすことになり、近隣でたまご牧場「まきば」を経営する山田順二さんが世話してきた。その後、長野県から薬殺されそうになっていた花子も引き取り、獣舎は「太郎と花子の家」として、多くの人が2頭に会いに訪れる場所になっていた。
太郎は野生のツキノワグマの寿命とされる20年をはるかに超えて36歳に。今年2月には倒れて立ち上がれなくなり、ボランティアが交替で好物のイチゴなどを食べさせたり、雨がかからないようにするなど世話してきたが、先月29日に亡くなった。
里山の放置竹林伐採など環境保全活動に熱心に取り組み、2022年に73歳で他界した元藤田小学校教諭の北野久美子さんも、夫の重夫さん(78)=和歌山市在住=とともに太郎と花子の世話を長年続けており、重夫さんは久美子さんの遺影を抱いて太郎の葬儀に参列。太郎はたくさんの花で飾られ、数年前に亡くなった花子の隣に埋葬された。
北野さんは「全国的にはツキノワグマに悩まされるニュースが多い昨今ですが、こんなに人間に愛されたクマもいたということを皆さんに知っていただけたらと思います。妻が健在なら、きっと人とクマが平和的に共存できる環境づくりのために奔走していたことでしょう」、初代会長で現在は名誉会長を務める森山まり子さん(78)=西宮市=は「大型の哺乳類であるツキノワグマが自然の中で生きられる環境を守り続けることが地球を守ることにつながると思い、活動しています。太郎ちゃんは多くの人に愛されて、本当に幸せなクマだったと思います」と話している。

