カエルに食べられそうになると、飲み込まれないようにカエルの舌にしがみついて抵抗するゾウムシの話を、先日、たまたま新聞記事で見て、そのゾウムシの抵抗の仕方が柔道の寝技をかわす術のようだと思った。

 柔道で寝技に持ち込まれそうになったとき、自分の足を相手の足に巻き付けて相手に技を決めさせない防御法。息子が小学生のときに通っていた柔道塾で、筆者もいっしょに練習させてもらっていたのだが、試合のとき、「足巻け、足巻け」と声をかけあったあの逃げ方。その記事に添えてあった写真で見た、ゾウムシがカエルの舌にしがみつく姿は、まさに「足巻け」という感じだった。

 この足巻き抵抗法を発見した教授らチームの実験によると、ゾウムシを食べようとしたアマガエル20匹のうち13匹は舌や唇にしがみつかれ、それでも飲み込めたのは1匹だけだったそう。アマガエルがしがみついたゾウムシを振りほどくのにかかった時間は、驚くべきことに最長70分。ゾウムシの足巻き抵抗力のなんとすごいことか。ただ、アマガエルより大きなトノサマガエルにはこの足巻き護身術は通じず、大半が食べられてしまったとの研究結果も載っていた。体重別では勝てても、無差別級ではどうしても大きな選手にかなわないのかと、また柔道に置き換えて想像できた。

 それにしても、おもしろい研究をしている人たちがいるものだ。つい世界を人間本位に見てしまいがちだが、地球に生きているのは人間だけじゃない。ゾウムシだってカエルだって、それぞれに自分の命を守りながら一生懸命に生きている――。ゾウムシの護身術を知ってそんなことを思い、人間以外の生き物により興味が湧いた。(亜)