和歌山を代表する冬の味覚といえばクエ。天然クエとともに、「近大クエ」も白浜町や由良町で提供されるブランド魚として定着し、多くの観光客を引きつけてきた。天然物に負けない味わいと安定供給を両立し、和歌山のクエ文化を支える存在になっている。

 しかし、その近大クエも近年の海水温上昇により供給が難しくなっている。鹿児島・奄美の養殖場では今後数年分のクエが高水温による病気で死んでしまったという。そのため、今後はこれまでのように由良町にも近大クエが提供できなくなったとのことだ。

 そんな中、近大が新たな選択肢として提案しているのが「クエタマ」だ。クエとハタ科の魚タマカイを掛け合わせた魚で、高水温に強く、クエの約3倍の速さで成長するという。
 先日の試食会で筆者も刺し身と鍋を味わう機会があった。見た目はクエとほとんど変わらず、刺し身は適度な歯応えがあり、かむほどにうま味が広がる。鍋は上品なだしが出て、味わいはまさにクエそのもの。ゼラチン質の部分もたっぷりで、コラーゲンの豊富さも感じられた。会場にいた旅館関係者らからも「クエと変わらない」「鍋はこちらの方がおいしい」といった声が相次ぎ、評価は上々だった。

 今後は導入に向けた協議が進められ、採用されれば来年から提供が始まる見込みという。高水温に強く成長も早いため、安定供給につながる可能性は大きい。さらに、生産効率が向上すれば、価格面にも変化が生まれるかもしれない。近大クエに続き、クエタマも由良町の新たな魅力として多くの人に親しまれる存在へと育っていくことを期待したい。(城)