御坊市の三浦源吾市長は5日、廃線の危機に直面している紀州鉄道(経営=紀州鉄道株式会社)の事業譲渡先が決まったことを明らかにした。100年近く親しまれてきた同鉄道の存続に、一定の道筋が見えた形。市は観光資源の価値や運行支援のあり方などを調査するための予算をつけ、赤字経営の鉄道事業をバックアップしていく。

田園風景の中を走る紀州鉄道(御坊市湯川町財部地内)

 紀州鉄道はJR御坊駅から学門駅(日高高校前)、市役所前駅等を経由し西御坊駅まで全長約2・7㌔の日本一短いローカル私鉄。1928年(昭和3)に「御坊臨港鉄道」として設立、31年に開業した。経営は当初から厳しく、風水害に伴う廃線の危機も乗り越えてきたが、近年も年間数千万円の赤字が続き、会社側としては事業譲渡先が見つからない場合、今年中にも鉄道事業を廃止する方向となっていた。地元ではファンクラブが設立され、署名活動や紀州鉄道でのイベント、清掃活動を行い、存続の機運を盛り上げてきた。

 担当課によると、紀州鉄道株式会社と譲渡先の事業者が事業譲渡に合意しており、今後、本契約を結ぶ見通し。現時点で事業者名などは非公表。三浦市長は譲渡の方向性が示されたことを歓迎する一方で、運営主体が代わっても抜本的な収支改善が難しいことを指摘し、「今後も鉄道を安定的に運行していくためには経営改善への自助努力に加え、公的な支援による持続可能な枠組みの構築も必要」との認識を示した。

 市は議会6月定例会(12日開会)に紀州鉄道の①公共交通の価値②観光・地域資源の価値③持続可能な運行体制に向けた支援策――を調査、研究するための予算案を追加で提出する。