息子が小学1年生のとき、地域の夏まつりですくってきた鮒金。うちの玄関に置く水槽に暮らし始めてこの夏で11年、数匹は死んでしまったが、まだ2匹が泳いでいる。当初3センチほどだった体長は、今や20センチを超える巨体。まるまる太って、どっしりとした貫録がある。

 この2匹はオス。うちにやってきて3年ほど経ったころか、この2匹が、別の1匹を追いかけまわすようになった。1匹がいじめられているのかと心配したが、そのうちに水槽のなかに大量の卵があるのを見つけて気が付いた。2匹はオスで、1匹のメスを追いかけまわして産卵を促していたのだった。調べると、オスは頬に「追い星」という白いプツプツが出るそう。2匹の頬にそれがあった。

 卵は一度にたくさん生まれたが、よく観察していると、親魚がパクパクと食べている。慌てて卵を別の小さな水槽に移した。すると、しばらくして卵がかえって赤ちゃんが生まれた。黒くてとても小さくて、かわいい。金魚に詳しい知人にその話をしたら「もう少し育ってくると色が赤くなるよ」と教えてくれた。赤への変身が見たくて、卵が生まれるたびに孵化に挑戦した。でも毎回、黒い赤ちゃんの誕生まではいくのだがその先へは進めず、結局、赤への変身は一度も見ることができなかった。

 4年前にそのメスもいなくなって、オス2匹での毎日。人間で言えばもうおじいちゃんなのかあまり動かず、だいたいいつも水槽の底のほうで仲良く寄り添ってのんびりしている。うちに帰ると、2匹に向かって「ただいま」と言う。2匹は口をパクパクさせてこちらを見る。少しとぼけたような表情がなんともかわいくて癒される。(亜)