
今回紹介するのは「ネタバレあり 双紋島の殺人」。双紋島という孤島で繰り広げられる殺人事件を描いたものだが、特徴的なのはタイトルにあるように「ネタバレ」があることだ。ネタバレは「島での最初の犠牲者は名探偵」「登場人物の一人は偽名」「島では四人が殺される」「共犯者がいる」など7つあり、冒頭に明示されている。
物語は財宝伝説がある島「双紋島」。嵐の時だけ入ることができる海底洞窟があり、そこを訪ねた編集者一行やミステリー作家、その他各々の理由で訪れた登場人物たち。洞窟での思わぬアクシデントに遭遇し、探索が難航する中、1人の参加者が殺害される。その人物はミステリー小説好きを豪語し、ミステリー作家ともトリックのフェアさを語り合うほどの人物で、ネタバレ通り、まさに名探偵と呼ぶにふさわしい人物だった。殺人犯と思わしき人物を隔離したはずも、またもや殺人が行われてしまう。
冒頭、この小説は双紋島での事件を暴いてほしいとの思いで出版されたことが書かれており、ネタバレにも犯人の名前などはない。読者は「犯人探し」だけではなく、「誰がどのネタバレに該当するのか」を考えながら読み進めることになる。
途中のミステリー小説のフェアについての議論も面白い。作者が嘘を記述してはいけないことや、ヒントを意図的に隠してはいけないことなど、本格ミステリーのルールについて語られる。物語後半では、この「フェア」が重要な意味を持ってくる。なぜ作者はネタバレを記したのか。島での連続殺人だけでなく、小説そのものに仕掛けられた謎も含め、終盤で一気に解き明かされる。(城)


