
今年3月に他界した児童文学作家、山中恒氏が1970年代に学習雑誌に連載したユーモア小説をご紹介します。今も角川つばさ文庫から出ており、令和の子どもたちにも人気を呼んでいるようです。
あらすじ 6年4組、48人。12人で一つずつの班が編成されている。それぞれにフラッシャーズとかサンフラワーズとかしゃれた名前がついているが、4班だけはなかなか決まらず、他の班から「ズッコケ一家」というありがたくない名前を頂戴してしまった。
その面々は、実に個性豊か。何かに夢中になると他のことはすべて忘れてしまう、ワスレノスケこと青山大介。何かを思い出すと、とぴょうしもない声で「ああっ!…ああ、ああ!」と叫ぶ。初めの「ああっ!」は何かを思い出した時、次の「ああ、ああ!」は、思い出したところでもうどうしょうもないというあきらめの叫びなのである。きょうもそう叫んで、担任の立野光子先生をヒヤリとさせる。ミス・パリこと花原美和子。花の都パリとは何の関係もない、強情っパリのパリである。男子と取っ組み合いのけんかをして「女の子は女の子らしく」と校長先生にいわれ「女の子らしければいいんですね」と、翌日には髪を日本髪に結い着物を着て下駄をはき、カランコロンと運動場に現れる。
昭和感いっぱいのエピソードの連続。12人のキャラが立っているのでどれも面白い。各メンバーの性格と家庭環境の関係とか、大人目線で背景を想像しながら読んでみるのも一興です。
著者の作品としてはこのほか、「転校生」として大林宣彦監督に映画化された「おれがあいつであいつがおれで」などもあります。(里)


