5月のテーマは「緑」。日本を代表する風景画家の一人、東山魁夷の著書をご紹介します。

 「京洛四季 東山魁夷小画集」(東山魁夷著、新潮文庫)

 昭和から平成にかけて活躍した著者。本書は昭和43年(1968)の著作で、川端康成が「変わりゆく京都の姿を、描いて残してほしい」と願ったことから生まれました。柔らかな緑で春の京都、深い緑で夏の京都など、美しい風景を描いた作品が収められているほか、5月の葵祭、保津川下り、竹林の若竹など京都ならではの風物について端正で風情ある文章で表現しています。

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 筍が伸び、下の節から褐色の皮を脱いで、若竹になる。白い粉を吹いたような青白緑色の若々しい茎。鮮やかな緑のもの、やや茶褐色を混ぜた色の茎と、竹林の初夏の色彩は変化に富んでいる。(略)

 向日町から、長岡、山﨑辺りの広大な竹林は、初夏の陽に照らされて明るく、生々として、潤いと陰影に富む京都風景の中では、異質な感じと云えよう。この頃のよく晴れた日に、竹に蔽われた山の眺めは、若葉色の焔が燃え立つように眩しい。