しょうゆ発祥の地として知られる湯浅町の湯浅醤油有限会社(新古敏朗代表)が今秋、米国のロケット「ファルコン9」で、しょうゆの麹菌を宇宙へ打ち上げる世界初のプロジェクトに挑む。新古代表は「今回の挑戦は第一歩。将来は宇宙での醸造、さらには月面でのしょうゆ作りにつなげたい」と展望を語る。

手にした麹菌に思いを託す新古代表( 左下は宇宙へ飛ばす際に麹菌を入れる容器 )

 計画のきっかけは、串本町にロケット発射場が建設される際、観光向け出店の打診を受けたこと。その後、関係者との交流を重ねる中で、宇宙でのしょうゆ作りという構想が生まれた。

 当初は宇宙での醸造を検討したが、輸送量や宇宙での作業面での課題から、まずは麹菌を打ち上げる方針に転換。宇宙滞在後に地球へ帰還させる必要があるため、米スペースX社のロケットを利用することになった。

 麹菌は粉末状で、手のひらサイズの特殊容器に収め、ファルコン9の先端部に搭載。打ち上げ後、宇宙空間で約2週間滞在したのち、ステーションからの帰還者によって持ち帰られる計画となっている。

 帰還した麹菌は研究機関で変化を分析し、結果を論文として発表。その後、この麹菌を用いたしょうゆを仕込み、商品化を目指す。論文発表は来年、販売は再来年を見込む。

 新古代表は「鎌倉時代に法燈国師が命がけで中国へ渡ったことが和歌山のしょうゆのルーツ。今度はわれわれが地球から宇宙へ踏み出す番。宇宙開発が進む中、しょうゆ業界でも誰かがやらなければならないと思った」といい、「麹菌が宇宙でどう変化し、しょうゆにどのような影響をもたらすのかを探る第一歩。将来の宇宙時代の食文化につながる取り組みにしたい」と意欲を見せている。