印南町真妻地区が発祥のブランドわさび「真妻わさび」の栽培を再興させようと、地元のまちづくり団体真妻やまびこ塾(山本育男塾長)と高機能炭和歌山研究所(中田稔所長)が2024年から田ノ垣内の耕作放棄地で取り組んでいる独自栽培の報告会が22日、現地で行われた。少量の湧き水でも栽培できるかの実証実験で、課題はあるものの現時点ではおおむね順調に生育。来年1月の初収穫が期待されている。

田ノ垣内地内の山あいにある耕作放棄地に少量の湧き水があり、畑わさびが自生していたことに着目した山本塾長と、梅の種の炭を使った真妻わさびの栽培地を探していた中田所長が合同で24年から実証実験をスタート。県から受けていた農業農村活性化支援モデル補助事業が終了したことを受けて、報告会を開いた。
わさび栽培は本来、冷涼な気候と豊富な湧き水のある場所での栽培が適しているが、少量の水量でも栽培できればもっと地域に普及できると、独自の栽培方法を考案。工事現場で使われる直径約50㌢のコルゲートパイプを半分に切り、段差をつけて畑に設置することで少量の水を最大限活用。パイプの中には砂利を敷き詰め、中田所長が特許を取得している梅の種の炭が入った袋を所々に配置し、わさび自身が出す毒素(アレロパシー物質)を吸着する効果を狙った。パイプの底にたまった泥に毒素が沈殿する可能性があるため、定期的に排出するなどオリジナルの栽培方法を実践している。
24年1月、3区画に分けて定植。昨年夏、1区画分は枯れて植え直したが、2区画分は2年経った今も元気に生育している。ただ、イモと呼ばれる根茎(すりおろして食べる部分)が思うように大きくなっていないのが現状で、今後は1月の収穫までにどれだけイモを大きくできるかがポイントになる。
現地での報告会には県、町の関係者と真妻わさび生産者の平井健さん(44)=平井わさび園代表=らが参加。山本塾長は「イモが大きくならないと商品化は難しいが、小さくても家庭ですって食べるには十分。家庭菜園として普及できれば、なかなか手に入れられない真妻わさびを手軽に楽しむこともできる。引き続き試行錯誤しながら栽培していきたい」と意欲を見せた。日高振興局農林水産振興部の職員は「真妻わさびを保存する一つの手法になればうれしい」と期待を寄せた。


