小学生の時の愛読書の一つに、偕成社の「少年少女落語全集」全12巻がある。一冊に約10編を収録。子ども時代に120編もの落語に親しむことができたのは、幸せなことだったと思う◆このシリーズは中学校の図書室にも備えられ、なかなか人気が高かった。怪談好きだった父は「ろくろっ首」「お化け長屋」「死に神」など怪談テイストのあるタイトルから順に買ってくれたが、「まんじゅうこわい」「寿限無」「目黒のさんま」など一般的によく知られた噺も多く入っていた。酒好きな魚屋とおかみさんの夫婦愛を描く人情噺「芝浜」、秀吉や鞘師として有名な曽呂利新左エ門の登場する歴史もの「狂歌会」、明治期を舞台とした「ライオン」など、子ども向けといっても非常に豊富なバリエーションがあり、何度も何度も繰り返し読んだのでセリフなど覚えてしまった◆しかし実際に鑑賞する機会はなかなか訪れず、もう少し成長して高校生の時、深夜にテレビで「米朝落語全集」をやっていた。これが実に面白く、毎週鑑賞。上品で深みのある話芸に触れられたと思う◆「和歌山のおばちゃん」として和歌山弁落語等でおなじみの二代目桂枝曾丸さんと御坊市民文化会館共催の「ぶーん寄席」が昨年から年に2回行われている。先日、今年度の第1回を取材。枝曾丸さんが和歌山弁落語「親族一同」と上方落語「悋気の独楽(りんきのこま)」、ゲストの桂雪鹿(ゆきしか)さんが「四人癖」とバイオリン漫談を披露する楽しい寄席だった◆本を読むのも、テレビで鑑賞するのもいいが、やはりなんといっても生の舞台に触れるのが落語を知る一番の早道。次回は10月に上演。伝統の話芸に、ぜひ実際に触れていただきたい。(里)


