
御坊市藤田町藤井、国の有形文化財に登録されている瀬戸家住宅で4月5日、同家に100年以上にわたって伝わるひな飾りが一般公開される。大正4年(1915)11月に行われた天皇即位を祝う御大典を記念した貴重なひな人形で、全国的にも珍しいという。
瀬戸家住宅を所有する瀬戸研司さん(57)の曽祖父に当たる瀬戸健三氏が御大典に出席できなかったため、大阪の三越呉服店に御大典の様子を再現したひな人形を作るように依頼して作られたという。
四段飾りで、男雛の顔には大正天皇に似せて口ひげが描かれ、一般的な座り雛ではなく、立ち姿の人形。ほかにも御大典の開催が11月だったことから華やかな桜ではなく、花がない桜となっていることなどが特徴で、五人囃子や三人官女もある。
一般公開は、9年前に瀬戸家で行われた生け花展の際に公開されて以来。公開は午前10時から午後3時まで。誰でも無料で入場できる。日高地方では、旧暦3月3日の桃の節句に当たる4月上旬にひな人形を飾る風習がある。
瀬戸家は17世紀後期から明治末ごろまで酒造業を営んだ。健三氏は12代目で、小池佐平氏らと大正9年(1920)に南海紙業株式会社(のちの旭化成工業株式会社和歌山工場)を設立し、社長に就任。有形文化財登録の住宅は主屋が大正時代後期に建築された木造2階建て。東側に入口を構え、通り土間を設け、背面側は竈(かまど)や流しが据えられている。


