卒業シーズン、当地方では3学期修了式の前日となる3月23日に卒業式を行った小学校が多かった。筆者の担当する市に小学校は6校。今年は、花の産地として知られる地域の学校の卒業式を取材した◆この3月に小学校卒業を迎えたのは、コロナ禍の中で小学校生活をスタートした学年である。「まるでコロナウイルスに奪われた時を取り戻すかのように、何事にも一生懸命取り組む学年だった」と、校長先生は式辞で言われた◆卒業生は18人。会場の体育館にはピンクパンサーなど春の花が飾られ、卒業証書授与では一人ひとりのいい表情の写真が前に大きく映し出された。校長先生が式辞ではなむけの言葉として贈ったのは、「凡事徹底」の4文字。阪神タイガースの藤川球児監督がチームにつけたキャッチフレーズだ。「当たり前のことを、当たり前にやり続ける」意味だという。卒業生が在校生にかける言葉では、単に「在校生の皆さん」と一括りにするのではなく、1年生から5年生までそれぞれの学年に向けてそれぞれに応じた言葉をかけていたのが印象的だった◆6歳から12歳まで、小学校の6年間は人生の土台づくりといっていい年代である。卒業式を見た限り、この学校の子どもたちはその土台の時期を力いっぱい、完全燃焼して過ごしてきたように見受けられた◆身近な人達との間に培った絆を大事にする。それは「凡事」といえる当たり前のことかもしれないが、貴いことである。在校生が演奏するエルガーの「威風堂々」に合わせ、花道を通り抜けて退場する卒業生たちの目には熱い涙があり、式のあと言葉を交わした先生も「とてもいい学年でした」と涙ぐんでおられた。「凡事」が、最高の形で為されていた証であろう。(里)