近く串本町で小型ロケット「カイロス」3号機の打ち上げが予定されている。今回、筆者がその現場取材を担当することになった。

 これまでの道のりは平坦ではなかった。2024年3月の初号機は、リフトオフからわずか数秒で自律安全飛行システムが作動し、飛行を中断した。同年12月の2号機は、強風の影響で延期を重ねた末の打ち上げだった。機体は上昇し空高く飛び立ち成功を期待したが、3分余りで中断措置。原因はエンジンの燃料ガス噴射ノズルを制御するセンサーの異常などだったという。

 2度の失敗となったが、歩みが止まったわけではない。開発するスペースワンは、原因究明と対策に時間をかけ、機体全体の再点検を進めてきた。今月18日のオンライン会見で、豊田正和社長は「3号機はミッション完遂への新たな出発」と語り、慎重に準備を重ねてきたことを強調した。

 3号機は全長18㍍。計画では3段のエンジンを分離しながら南へ飛行する。発射約53分後、南米大陸上空で最初の衛星を分離し、約30秒で5基すべてを切り離す。搭載するのは国内外の小型衛星。宇宙開発ベンチャーや教育機関、海外機関の衛星も含まれる。それぞれに研究や事業の目的があり、この一機に託されている。

 将来的には年20基の打ち上げを目指す構想も掲げる。安定的に小型衛星を軌道へ運ぶ仕組みが確立すれば、日本の民間宇宙事業にとって大きな前進となる。まずは目の前の一機。その成否が、次の挑戦につながる。打ち上げ当日、空を見上げる人は少なくないだろう。日本の未来を乗せたロケットが、確かな軌道へと到達することを願いながら、ともに空を見上げたい。(城)