ドラマ「想い出にかわるまで」等で人気を得たシナリオライターで、昨年12月に77歳で他界した内館牧子さんの「学び直し体験記」をご紹介します。

 内容 大相撲の大ファンで特に伝統を重んじ、「土俵に女性が上ってはいけない」という伝統は、「たとえ女性知事が賜杯を手渡す場面であろうと守られなければならない」との思いに燃え、「それが正しいかどうか、きちんと学びたい」と全国の大学についてつぶさに調べ、選び出したのが仙台の東北大学。難しい入学試験を受けてパスし、勇んで仙台で2年間(結果的には3年間)を過ごすのだった。「見渡す限りの18歳」にひるみながらも、やがて周囲の男子学生たちに助けられ、パソコンによる履修届など著者にとっての困難なミッションを果たしてくれる「喜び組」をつくりあげて、充実した快適な大学院生活をエンジョイするのだった。

 テーマは「学び直し」。私も本当は、昨今の複雑な世界情勢の中、一からちゃんと学び直したいものだとかねがね思っていました。そうはいっても仕事を持っていると、実際に行動を起こすのはやはりなかなか難しい。本書を読むと、著者の、自ら立てた目標をクリアするためのバイタリティ、天性ともいえる人脈づくりの才覚に感じ入ります。

 1990年代、「想い出にかわるまで」などの著者の脚本によるドラマは、友人がハマっていたこともあって何本か観たのですが、本書はそれらの都会的雰囲気とは一味違い、「人生出たとこ勝負」をモットーとする著者の本領が発揮されている感があります。

 学びたい、という欲求もある種、人間の本能かもしれないと思うのでした。(里)