廃線の危機に直面している紀州鉄道を存続させようと、日高地方の住民有志ら約60人が集まってファンクラブが発足した。19日には御坊市中央公民館で設立ファンミーティングが開かれ、思い出や現状報告、これからこうなってほしいというたくさんのアイデアを出し合った。まずは2月末を期限に存続を求める署名活動を展開し、支援の輪を地域全体に広めていく考えだ。

紀州鉄道存続へ向けて発足したファンクラブのメンバー

 紀州鉄道は1928年(昭和3)、御坊臨港鉄道として当時の地元有志が設立し、31年に開業した100年近い歴史を持つ御坊のシンボル。日本一短いローカル私鉄として全国の鉄道ファンからも人気となっているが、時代の変遷とともに利用者は減少。現在は年間約5000万円の赤字、運営事業者が廃線の方針と報道され、事業を継承してくれる企業を模索している現状で、危機に直面している。

 これらの事情を知ったおんぱく(御坊日高博覧会)を運営する「NAVEL(ネイヴル)」(谷口光代表)や紀州鉄道ファンら13人が発起人となって、ファンクラブ設立を発案。この日のファンミーティング開催を皮切りに発足することにし、御坊市内のほか周辺町や日高地方以外からも含めて約60人が集まった。岩永淳志県議、松本隆史御坊市議らも参加している。

 紀州鉄道の鉄道部長で、存続へ向けて奔走している大串昌広さん(60)は現状などを説明した上で「たくさんの応援をいただき、りんこうは地域のために必要だとひしひしと感じている。2028年に100周年を迎えるが、100年以上、ずっと走り続けて次の世代にバトンタッチしたいので、どうか力添えを」、ファン代表の岡田敏史さん(62)=薗=も「みんなの力を合わせて何とかしたい」と協力を求めた。

 6グループに分かれ、存続や利用を増やすアイデアをざっくばらんに意見交換。「各駅ごとに居酒屋ゾーン、格安宿泊ゾーンなどテーマを決めてまちづくりすれば人が集まる」「電車自体を居酒屋にしては」「逆に線路を伸ばしてつなぎ『日本一短い環状線』」「犬駅長を置こう」などユニークな意見がたくさん出されたほか、鉄道が好きな小学生からは「これからも残してほしい」との声が上がった。今後も定期的に開催し、できることから実践する。まずは署名活動に力を入れ、国や県、御坊市などに存続への模索を要望する。

 ファンクラブ代表に就任した市自治連合会長などを務める酒本和彦さんは「御坊市だけの問題ではない。日高地方全体で知恵を出し合い、存続できる方法を考えていこう」と呼びかけた。