伝統的な技術文化の向上発展に顕著な功績のある個人をたたえる今年度県名匠表彰の受賞者が決まり、今回は1人だけ、日高町原谷の黒竹製作、金﨑昭仁さん(67)が選ばれた。黒竹の伝統を守り続けている金﨑さんは熟練の技を持った技術者としてだけでなく、受け継がれてきた産業を後世に引き継ぐ取り組みにも尽力。表彰式は2月27日午後2時から県庁で行われる。

黒竹の成形を行う金﨑さん

 金﨑さんは1984年から家業の黒竹業に従事。父昭一郎さんの背中を見ながら修行を積んだという。原谷では明治初期から黒竹の植林が始まり、昭和の終わりには全国一の生産地として名を馳せたが、住宅様式の変化による和室需要の減少や鹿の食害による竹林の荒廃で生産者の多くが廃業。現在では金﨑さんが三代目として代表を務める有限会社金﨑竹材店が国内唯一の黒竹生産工房として、その伝統を守りつづけている。

 竹の伐採から選別、乾燥、直火による油抜き、つや出しまで、全ての工程を一貫して行い、長年の経験に基づく感覚と技術で高品質な黒竹を製作。色つや、耐久性ともに優れ、全国の寺社仏閣や地元の民芸品にも使用され、さらには床柱、茶道具、装飾材としても高い評価を受けている。

 後継者の育成や技術の継承にも力を注ぎ、地域の小中学生を対象にした体験学習を実施。黒竹の歴史や文化を伝える活動を続けている。黒竹林の保全・再生や耕作放棄地の活用で地域産業の持続可能な発展にも尽力。さらに大阪・関西万博2025への出展を通じ、和歌山の黒竹文化を世界に発信するなど、活動の幅を広げている。

 受賞者は選考委員会の審議を経て決定。金﨑さんは「地元関係者や家族らの支え、協力があったおかげで、続けてこられています」と感謝を口にし、「引き続き黒竹を多くの人に知ってもらえるよう取り組み、また、安定生産・安定供給を目指していきたい」と話している。