
先ごろ最終回を迎えたTBSドラマ「ザ・ロイヤルファミリー」の原作をご紹介します。
あらすじ 親子で一緒に働くことを夢みていた父を亡くし、空虚な心を持て余していた税理士の栗須栄治。ふとしたことから買った馬券がビギナーズラックで大当たりする。その縁で、大手の人材派遣会社「ロイヤルヒューマン」のカリスマ的ワンマン社長、山王耕造の秘書となる。
山王社長は競馬に熱中しており、「ロイヤル」の名を冠する多くの馬を持つ馬主としても有名だった。
栗須は社長に同行し、買い付けから実際のレースまですべてに立ち会い、次第に自身も競走馬の魅力に魅かれていく。「ロイヤルホープ」と名付けられる馬は、かつての恋人・加奈子の実家の牧場で購入。ホープで有馬記念を勝つ、という山王社長の夢に向かい、調教師の広中、ジョッキーの隆二郎らはチーム一体となって走って行く。
やがて、山王社長の隠し子の存在がマスコミの知るところとなる。栗須は彼・中条耕一に接触。耕一の聡明さと、競馬を情報分析する能力の高さに触れて感銘を受ける。
運命は、山王社長から重要な馬たちを耕一へと継承させていく…。
第一部「希望」はロイヤルホープ、第2部「家族」はロイヤルファミリーという馬を中心とする物語です。
私はまずドラマを見て、最終回まで見届けてから本書を読みました。なので、読みながら頭の中では登場人物はすべてドラマのキャスティング通りの姿で動いていたのでしたが、涙もろさが往年の大河ドラマ「天地人」の直江兼続を思わせる、妻夫木聡演じる主人公の栗須。存在感抜群の佐藤浩市演じるカリスマ的なワンマン社長の山王耕造。このドラマを見るまであまり知らなかったのですが目黒蓮演じる耕一。すべてハマり役だったように思いました。
栗須と、彼が忠誠を誓う山王社長の絆。そしてその息子で若き馬主となる耕一への、志と夢の継承が大きなテーマでした。20年という長いスパンの物語が、夢の継承という一つの物語に収斂されていくのが見えた時、そこに美しい一本のラインが通っているように思え、すがすがしい読後感でした。
年末の28日に行われる有馬記念に向けて、盛り上げていくドラマでもあったかもしれません。ファン投票によって出走馬が決まる、まさにファンのためのレースだそうです。(里)


