趣味は釣りだが、釣り道具を自分で作ることも好きだ。今は来年のアユ釣りに使うたも作りに夢中で、仕事から帰ったあとや休日に少しずつ作業を進めている。完成形を思い浮かべながら原材料の木と向き合う時間は心が落ち着き、気分転換にもなる▼材料は山に生えているモミやカヤの木。作り方は切り出した木を十分に乾燥させ、ナイフで荒削り。蒸気を当てると、木が曲げやすくなることを利用し、やかんに湯を沸かし、吹き出る蒸気を当てながら枠の形を整える。柄の部分にはシカの角などで装飾を施し、ペーパーで丁寧に磨く。塗料のカシューを何度も塗り重ねて完成となる。カシュー以外にもうるしを使う人もいる。自然の素材を生かす作業は、手間はかかるが、その分手作りの味わいが引き立つ。製作期間は木の切り出しから乾燥までに2、3カ月、塗装に1カ月ほどかかり、早くても数カ月は必要だ。長い人では1年以上かけて仕上げる▼今までにもアマゴ釣り用の渓流だもなどを含めて10個ぐらいつくったことがある。趣味の一環なので、売り物のような出来にはならないが、根気強く手を動かす時間が癒やしになる▼最も難しい工程はカシューの色付けで、理想の深みのある飴色に仕上げるのは容易ではない。乾燥が不十分なまま重ね塗りしたり一度にカシューを多く塗りすぎたりすると、色ムラが出てしまう。早く仕上げたいという焦りが失敗の原因となることもある▼日常生活では急がなければならないこともあるが、焦ると良い結果に結びつかない場合が多い。年末は何かと慌ただしい季節。車の運転なども含め、何事も落ち着いて取り組みたい。人生もまた、慌てずゆっくり歩むことも大切かも…(雄)