高田果園の梅畑に母樹の苗木を植える濵村君と山本さんら

 みなべ町晩稲、梅干し等製造・販売の有限会社紀州高田果園(高田智史代表)の梅畑にある南高梅の母樹を後世に引き継いでいこうと、南部高校が母樹の遺伝子を100%受け継いだ苗木を育苗し、12日に同社に10本を植樹した。母樹は樹齢123年の老木で、もしもに備えて後継樹を育成する取り組み。一大産業に発展している南高梅のルーツを絶やさず、2代目として継承していく。

 高田代表の祖父、貞楠さんは1902年(明治35)、自身が所有する晩稲の桑畑を梅畑にしようと、内中梅の苗60本を約30㌃の畑に植えた。その中の一本に、ひときわ実が豊かになり、大粒の実、美しい紅のかかる優良種があることを発見。大切に育て、高田梅と名付けた。その後、梅優良品種品評会で最優秀となり、南高梅と名付けられた。現在の南高梅はすべて、この母樹の子孫になる。母樹はシンボルとして42年間、JAみなべ本所前に植えられていたが、5年前に高田さんの梅畑に里帰りしている。

 毎年実を成らすなど元気だが、年々弱っているのも事実で、長年交流のある南部高校に2世を育苗できないか相談し、食と農園科園芸コースの谷口和久教諭が快諾。高田果園で農家実習した経験がある同コースの濵村誓翔(せいと)君(3年)と、山本里瑚さん(同)が卒業研究の一環として育苗に取り組むことにした。

 今年6月に母樹から新梢(新しく出た枝)を約70本切り取り、挿し木での育苗をスタート。挿し木は母樹の遺伝子を100%引き継げるが、実生(種を土に植えて発芽した芽)や接ぎ木(台木に芽を接ぐ方法)よりも育苗が難しく、2人は新梢の下部をピーラーで3カ所削り、発根剤にひたしたり、独自の土づくりなどこれまで南部高校が長年培った挿し木技術を駆使。水管理などの世話をして、27本の育苗に成功。中でも発育のいい10本を高田果園に持ち込んだ。

 濵村君、山本さん、谷口教諭、高田さんと同社提携のNPO(就労継続支援A型)の従業員が丁寧に10本の苗と、高田さんが実生で育てた苗1本を植えた。濵村君と山本さんは「母樹のことを勉強して偉大さが分かりました。苗木が2代目に育って、ずっと続いていって欲しい」と願いを込めた。高田代表は「ここから育てるのも難しいといわれていますが、大事に管理してなんとか大きく育てたい。母樹をシンボルとしてこれからも歴史をつないでいきたい」と話した。