由良町で開かれた防災まつりの講演で、気象予報士の正木明さんが、環境問題と防災の関係を語った。おなじみの柔らかな語り口ながら、内容はいずれも重かった。

 近年各地で発生する豪雨を伴う線状降水帯は海水温上昇が原因とされ、海水温の上昇は地球温暖化によるものと指摘。過去2000年の世界の平均気温推移を示し、産業革命以前の長い安定期から近年の急激な右肩上がりへと転じた状況を視覚的に示した。温暖化が進んでいることは広く知られているが、グラフとして突きつけられると切迫度が一段と増す。日本だけに絞っても上昇傾向は続き、直近3年間の急上昇は、もはや例年の変動幅では説明できないほどだ。

 正木さんは、線状降水帯が由良町周辺でも地形的に発生しやすいと述べ、会場の住民たちも2023年6月の豪雨被害を思い起こしたことだろう。さらに、このまま世界が抜本的な対策を取らなければ75年後の2100年には気温が5度上昇し、海面上昇によって由良町も居住が難しくなる可能性に言及した。

 「温暖化を進めているのは人間であり、未来をどうするかも人間が選べる」。講演の締めくくりに放たれた言葉は強く心に残った。地震や津波とは異なり、異常気象は人間の行動によって発生頻度を減らせる可能性がある。環境への取り組みはそのまま防災につながる。節電、節水、節ガス、ごみの分別といった日常的な行動でも、積み重ねれば大きな力になる。

 将来の被害を「予防」できる数少ない災害が異常気象だとすれば、日々の選択こそが地域を守る力になる。まちを次の世代に引き渡すためにも、身近な一歩を積み重ねたい。(城)