印南町の新日本婦人の会日高支部あけぼの班(久堀啓予代表)は、戦争体験者から聞き取りした声を集めた冊子「歩み続けて―聞き取りの記録―」を150部自費作製した。戦後80年、戦争体験者が日を追うごとに少なくなっている現状に、「後世に語り継いでいきたい」と3年がかりでまとめた。町内の4人の記憶が記されており、13日に開く平和を語る集いで披露、参加者に配布される。

完成した冊子を手に左から久堀さん、深津さん、宮本さん

 新日本婦人の会は1962年に結成された国連NGOの女性団体。全国に班があり、あけぼの班は県本部日高支部の中の一つとして印南町で生まれた。普段は料理や手芸、絵手紙などを楽しんでいるが、戦争体験者が年々減っている中で、町内の体験者から聞き取りして文章で残そうと3年前から取り組みを始めた。

 故中家弘之さん(享年96)=印南=、早田妙子さん(91)=西ノ地=、左巴幸代さん(95)=宮ノ前=、五島勉さん(97)=古井=の体験談を掲載。中家さんは大阪大空襲、和歌山大空襲の2度の空襲を経験し、命からがら生き延びたこと、早田さんは艦載機が飛ぶ中を走って逃げ、捕虜のアメリカ兵が連れていかれる姿を見たことを回顧。左巴さんは空襲警報で防空壕に逃げた記憶や兄がソ連に抑留されたこと、五島さんは戦闘機乗りに志願して訓練したことや土佐湾で機銃掃射を受けたことなどを語っている。

 久堀代表と、聞き取りや編さんに力を注いだメンバーの宮本浩子さん、深津孝子さんは「戦後80年の節目にちょうど完成できた。語り継ぐことで、二度と戦争をしない、平和の尊さを多くの人が心に育む一助になってほしい」と話している。

 町教育委員会に30部を寄贈し、小中学校や公民館図書室などに置いてもらう。

 13日の平和を語る集いは初めての開催。午後1時半から切目社教センターで、冊子の朗読、オカリナとピアノの演奏、紙芝居でよみがえった御坊・日高の空襲や戦争体験「今こそ語り継ごう日高大空襲」の報告もある。入場無料で、来場者に冊子をプレゼントする。