和歌山高専生物応用化学科のスティアマルガ・デフィン准教授が、島根大学や国立遺伝学研究所、東京大学、オーストリア・ウィーン大学との国際共同研究で、生きた化石とされるタコの仲間「コウモリダコ」と、貝殻を持つ浮遊性のタコ類「タコブネ」の全ゲノム解読に世界で初めて成功した。

研究では、日本近海の深海にすむコウモリダコの全ゲノムを初めて解読し、約120億塩基対というヒトの約4倍にあたる動物界でも最大級の遺伝情報を明らかにした。遺伝子や形態による従来の解析と一致し、分類学的にタコ類であることを確認。一方で、ゲノム構造にはイカ類に近い染色体の名残を部分的に持つことも判明した。
さらにタコブネの染色体レベルのゲノムと、ほかのイカ・タコ類のゲノムを比較した結果、タコ類では染色体の融合や再編成が進み、本数がイカ類より減少してきた傾向が見られた。「タコはイカのような祖先から進化した」とされる仮説を裏付ける結果となった。
コウモリダコは水産重要種ではないが、海洋生物の進化史や環境変化への適応を探る手がかりが潜むことが示され、生物多様性研究の基礎的価値をあらためて示す成果となった。
研究はスティアマルガ准教授が島根大学の吉田真明教授、ウィーン大学のシマコフ・オレグ教授とともに主任研究者として主導。本校卒業生で現在東京大学大学院生の廣田主樹氏も参加した。


