先月末、2日間にわたって開かれた御坊華道連合会の「御坊市文化祭参加いけばな展」を取材した。毎年の晩秋、11月の終わりに開かれている恒例の花展である◆実りの秋、赤い木の実が会場を華やかに彩る。紅葉、黄葉も美しい。流儀の形にきりりと生けられた花々。ガラス器等に軽やかに生けられた花々。一つ一つの作品と向き合いそれぞれの風情を味わっていると、何とも豊かな気分になる。愛らしいピンクのサザンカ、ふんわりとした天人草、本当に鳥のような極楽鳥花(ストレリチア)、端正な中にも華やぎのある大輪の黄菊など、多彩な花材の中でも特に印象に残ったのは、房のように豊かにつやつやと赤い実をつけた南天。昔から好きな木の一つだ。ナンテンの音が「難を転ずる」という意味に通じるため縁起のよい植物とされ、正月の花材としてもよく用いられる。「福をなす」という花言葉もあるそうだ。実際、葉には殺菌力があり、弁当等に添えられる◆「花は足で生ける」という言葉が、華道の世界にはある。心にかなう花材を探し求め、野山を歩くことである。華道は季節感の芸術。四季折々の自然と向き合い、その時々に得られる恵みを活かしていく。この季節ならではの野山の恵みが、会場には満ちていたと思う。秋という季節は決して物寂しいことはなく、意外と華やいだものを持っていると思わせてくれた◆「お花は出会い」と、御坊華道連合会の会長は言われた。茶道の言葉である一期一会の心が、花の世界にもある。花と花の出会い、花と花器との出会い、花と人との出会い、生ける人と見る人との出会い。35席の花々に彩られた会場は、深く豊かな広がりを持つ出会いの場でもあった。(里)