ロシアのウクライナ侵略を終結させるべく、米国が和平案の作成、協議を主導している。先月20日にはウクライナに領土割譲、兵力削減、NATO加盟断念等を求める案を示したが、内容があまりにロシア寄りだったため、ウクライナのゼレンスキー大統領や欧州各国が猛反発した。

 30日には米国とウクライナの高官が会合を開き、終了後、具体的な協議内容は明かさなかったものの、米国の国務長官は「非常に生産的だった」と述べ、ウクライナの国家安全保障・国防会議書記も「米国は極めて協力的だった」と感謝した。

 何がどう変わったのか。ゼレンスキー大統領は29日の時点で「数日内に戦争を尊厳ある形で終わらせる方法を具体化できるだろう」とし、トランプ大統領も「合意の可能性はある」と楽観気味のようだが、問題はロシアがそれに納得するのかどうか。

 この戦争の終わり方は、ロシアと国境を接する東欧各国をはじめ、自由と民主主義を基調とするNATO諸国など全世界にとって重大な関心事であり、尖閣と台湾をめぐり中国との緊張が高まる我が国も、ロシアの力による現状変更を絶対に許すわけにはいかない。

 とはいえ、日本が異形の隣国といざ事を構える事態になった場合、自国の力だけで勝てないのは言うまでもない。核も同盟国も持たぬウクライナはロシアの侵攻開始から1カ月、他国の支援なしに自力で踏ん張った。その自存自衛の精神力が欧米各国を突き動かした。

 トランプ大統領はどう決着をつけようとしているのか。ロシア寄りの発言、NATOからも距離を置くような姿勢をみる限り、日本も真剣に自立を考えねばなるまい。(静)